自動車関係手続ワンストップサービスに望むこと

改めて、全部自分で登録手続きをしたことで、支払っている税金に対する自覚ができたことや、多少なりとも苦労して登録したマイカーに対する愛着が少しは増したことはメリットと言えるかもしれません。しかし、完全に旧来のプロセスをインターネット上に移しただけのサービスをu-Japanの目玉に据えているようでは、電子立国日本の未来は暗澹たるものです。住基ネットのメリットもまったく活かされていません。ビジネスプロセスの改善を含まない電子化はコストばかりかさむ破滅への道です。
IT業界で飯を食っている者として、今後自動車関係手続OSSが改善して行くとしたら、どこから手を付けるべきか考えてみました。
まずは住基ネットのメリットを打ち出すこと。住基ネット離脱の訴訟などがあちこちで起きていますが、電子化は生活を便利に豊かにしてくれます。住基ネットに反対する人も大半は携帯電話を持っているんじゃないでしょうか。自治体が個人情報を管理することには反対しつつ、携帯電話加入時には平気で運転免許証をコピーさせている。問題の本質は個人情報にあるのではなく、利便性と有効性の疑問なのだと思います。ICカードのサービスは、安全性を保ったままに銀行のATMやコンビニのキオスク端末コピー機、そして個人のパソコンや携帯電話を利用して安全なサービスを提供することができます。全国の自治体で住民票がとれるなどと、ユースケースの少ないサービスを強調するよりも、コンビニで住民票が受け取れるとか、登記簿が引き出せる、クレジットカードで納税できる、引っ越しの住民票移転や運転免許証の更新が銀行ATMでできる、といったことを考えてはじめてユビキタスなのだと思います。
自動車関係手続OSSの範囲で取り組むべきこととしては、まずは土地建物の登記と車庫証明を連結することでしょう。車庫情報を一度登録しておけば、その範囲内で簡単に車庫登録できるようにすれば、OSSを使う大きな動機になります。特に事業目的の利用にはメリットが大きいでしょう。住民票とも連動すれば、選挙目的の偽装転居なども防止できるんですがね…。
次にはメーカーとの連携でしょう。現在の日本の自動車メーカーの生産プロセスは完全に電子化されているのは自明ですから、OSSで申請する際に、自動車に関する情報をこと細かに利用者が入力して、問題があると却下されるような現在のしくみは、まったく利用者の視点で構築されていません。ディーラーで契約を締結したら、メーカーから生産番号のようなものが発行されて、これひとつで手続きが終わるようにすれば、利用者にもディーラーにも大きなメリットです。
あとは現在対応していない中古車への対応でしょうか。中古車ディーラーの民業圧迫と言われるかもしれませんが、OSS保有履歴や点検まで記録が残れば、個人間売買も、もっと安心してできますし、逆に中古車ディーラーも、より高い水準の安心を提供できるはずです。銀行のローン査定コストなんかも下がるのではないでしょうか。
良いことは少しもなかったと行っても過言ではないですが、それでも本当のu-Japanを支持するひとりの国民として、今後も自動車を購入するときにはOSSを利用したいと思っています。次に利用するときには、きっと、もっと良くなっていると信じて。